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2020.04.07
日本品質を守り続けるOEMのエキスパート
キクチ株式会社
代表取締役社長 菊地 潤氏
1971年の創業当時からOEMを専門にノウハウと独自のネットワークを構築し、おもちゃの企画・設計・製造を提供するキクチ株式会社。
ほとんどのおもちゃ製造が海外へ拠点を移すなか、海外工場を確保しながらも国内工場を維持し、おもちゃの日本品質を守り続けています。
約半世紀にわたり、OEMを通しておもちゃと時代の移り変わりを見てきたキクチの歴史と強みについて、代表取締役社長の菊地潤(きくちじゅん)氏と、菊地舞(きくちまい)氏にお話しをうかがいました。
菊地 潤氏(左)、菊地 舞氏(右)
始まりはキューピー人形のOEM生産
1971年、現会長である菊地憲悦(きくちけんえつ)氏がキクチ製作所を創業し、1975年に有限会社キクチ製作所として法人化しました。
「当時高校生だった現会長が秋田から上京し、学校に通いながらセルロイド玩具を取り扱うメーカーに勤務していて、その経験をもとに1971年に個人事業主としてソフトビニールのスラッシュ成型を始めました。当時、ある手芸会社が毛糸を販売するため、キューピー人形に毛糸で編んだ帽子や服などを着せて販売していて、そのキューピー人形を成型していました。その後、合体ロボットや超合金ロボット、特撮キャラクターのフィギュア、プラモデルなどを製造してきました。ソフトビニールの環境影響が問題になってからはプラスチック成型に移行しています。」
キクチのロゴ入り帽子と、社名入り服を着たキューピー人形
多種多様。時代に沿ったものづくり
「最近はガールズホビーと呼ばれる、消しゴムや石鹸などを作る事ができる女の子向けの商品を多く製造しています。そのほかに、モーターで動いたりするギミック系おもちゃやキャンディトイ(食玩)、アクリルを使った雑貨なども。また、最近ではプログラミング教育用の商品を作りました。プログラムは提供してもらいましたが、その他のハードの部分(基盤など)は海外の協力会社と共同で量産しています。」
大手玩具メーカーのOEM生産を引き受けるキクチは、年間を通して様々な商品を製造していますが、それは玩具に限ったことではありません。
「アクリル製品だと、キャラクターや映画、コンサートグッズなどを作っています。また、高齢者向けマンションのキーホルダー部分なども。アクリル製グッズは画像データをいただければ、小ロット・短納期で対応しています。」
10年以上売れ続けるガールズホビー商品の内部構造
信頼される確かな製造品質
長年のものづくりで培ってきた製造品質は確かなもので、キクチで作られたおもちゃは展示会で数多くの賞を受賞しています。
受賞という名誉はコンセプトの良さだけではなく、商品の機構や素材、耐用性などが高品質であることが前提です。これは製造技術だけではなく、商品開発の企画段階から携わることで実現しています。
おもちゃの品質を守り続けるキクチのこだわり
長年、様々なメーカーのOEM生産を通して時代の変遷に沿った商品を世に送り出したキクチの強みについて伺いました。
品質を維持するために。国内生産対応
現在販売されているおもちゃの多くは、アジア圏などの海外製がほとんどです。
「多くのメーカーの製造工場が日本を脱出しました。製造単価は海外の方が安いですから。その分、日本で製造するルートが少なくなっているのも事実です。うちは海外工場とのネットワークもありますが、商品の品質を維持するためにも、国内工場の維持・強化が必要だと思っています。」
日本の工場で生産された商品の信頼性は高く、“メイドインジャパン”と記載された商品を海外からわざわざ買いに来るほど。同社は国内の製造工場を維持し、日本品質の継続に努めています。
キャンディトイのパッキング
信頼を支える検品体制
キクチは、海外で製造・検品された商品を再検品するなど、最終的な検品は日本で行い、不良品の流出を防いでいます。
「海外で工場を新規稼働したときは特に、検品結果は不安定になりやすいんです。その時は日本での最終検品が必要です。実際、検品のニーズは高いです。当社の検品体制は他社にはないものだと自負しています。」
商品の検品
経験に裏打ちされたディレクション能力
キクチでは、構築してきた自社のノウハウとネットワークを使い、商品の企画から金型製作、量産、梱包、検査、出荷までの工程をディレクションしています。
「創業当初はおもちゃのパーツなど部分的な製造だけをしていましたが、当時の社長が、『おもちゃが完成するまでの工程すべてをまとめるような能力がないとこれから先は通用しない』との思いで、少しずつ受け持つ範囲を広げていき、今に至っています。また、1つの案件を一人が担当するようにしています。以前は複数人で一案件を担当していましたが、橋渡しのようにやっていくとうまくいかなかった部分もあるので。」
おもちゃの企画から出荷までの全工程を把握し、一案件専任性で行う事でスムーズな情報共有と工程管理が可能になります。OEM生産には欠かせないディレクション能力も、同社の強みとなっています。
日本品質のニーズに応えるため、更に国内生産を強化
「いずれはオリジナル商品を出したいという希望はあります。」と語る菊地社長。創業以来OEM一筋でやってきた苦労を分かるからこその言葉だと思います。過去50年の日本経済は、バブル期、バブル崩壊、平成の大不景気、リーマンショックという、低迷を極めた時代でした。この長く続いた苦境を乗り越え、国内での製造と検品体制に力を入れ、日本品質の維持に真摯に取り組む姿勢は、取引企業からの信頼も厚く、約半世紀にわたり大手メーカーからOEM生産を任されているのがその証拠です。
「“日本”というものがこれからさらに強みになっていくと思います。日本でしか作れないものもありますし。そこを強化していけば、まだまだ頑張れると思います。」と、菊地氏は明るい笑顔で意欲を見せてくださいました。
本社工場の様子
主要設備
インクジェットプリンタ(ミマキ)
自動製函機械
C式箱製函機械
おもちゃ大賞(主催:一般社団法人日本玩具協会)受賞歴
2008年
ハイターゲット・トイ部門 A社 優秀賞
2009年
トレンディ・トイ部門 B社 大賞
トレンディ・トイ部門 C社 優秀賞
2010年
ガールズ・トイ部門 C社 優秀賞
2013年
ガールズ・トイ部門 C社 優秀賞
2014年
イノベイティブ・トイ部門 D社 大賞
コミュニケーション・トイ部門 A社 優秀賞
2015年
イノベイティブ・トイ部門 E社 優秀賞
イノベイティブ・トイ部門 C社 優秀賞
2016年
エデュケーショナル・トイ部門 F社 優秀賞
2017年
共遊玩具部門 A社 大賞
イノベイティブ・トイ部門 D社 優秀賞
イノベイティブ・トイ部門 C社 優秀賞
ハイターゲット・トイ部門 B社 優秀賞
2018年
ガールズ・トイ部門 A社 大賞
日本おもちゃ大賞2018特別賞 A社
会社概要
会社名
キクチ株式会社
住 所
千葉県流山市西深井1028-15
(および、野田工場、香港事務所あり)
事業内容
玩具、雑貨、手芸用品等の企画、開発、製造
創 業
1971年創業、1975年 有限会社化、1988年 株式会社化
設 備
インジェクション射出成型機 3台
ベルトコンベア 4台
ピロ包装機 2台
エンドレスシーラー機 4台
シュリンクトンネル 1台
インクジェット印刷機 1台
C式箱製函機(プラモデルなど) 2台
自動製函機械 2台
インクジェットプリンタ(ミマキ) 1台
レーザー加工機(エピログ) 1台
URL
http://www.kikuchi-ltd.co.jp
備 考
工場見学について:
同社と取引中または取引検討中の企業は見学可能。要予約。
キクチ株式会社は、おもちゃの日本品質の維持に真摯に取り組む素晴らしい企業です。
当組合はこれからも、同社のさらなる発展と飛躍をサポートしていきます。
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